Ubuntu 25.04「Plucky Puffin」リリース間近!新機能と改善点を徹底解説


Ubuntu 25.04(コードネーム「Plucky Puffin」)の正式リリースが2025年4月17日に迫っている。Canonicalが開発するこのLinuxディストリビューションは、42番目のリリースとして注目を集めている。すでにベータ版が公開されており、最新機能を試したいユーザーにとっては絶好の機会である。本記事では、Ubuntu 25.04の新機能や改善点、リリーススケジュール、技術的な詳細をブログ形式で詳しく紹介する。Ubuntuファンはもちろん、Linuxに興味がある読者にも役立つ内容である。
Ubuntu 25.04の概要とリリーススケジュール
Ubuntu 25.04は、LTS(長期サポート)ではない中間リリースである。サポート期間は9か月間で、2026年1月までソフトウェアおよびセキュリティアップデートが提供される。開発は2024年10月17日に開始され、以下のスケジュールで進行している。
  • ベータ版公開:2025年3月27日
  • 最終リリース:2025年4月17日
現在(2025年4月3日時点)、ベータ版が利用可能である。正式リリースまであと2週間ほどであり、テスト目的でベータ版を試すことができる。ただし、安定性を求める場合は正式リリースを待つのが賢明である。ベータ版のISOイメージはUbuntuの公式サイトからダウンロード可能であり、ライブセッションや仮想マシンでのテストが推奨されている。
インストール体験の大幅な改善
Ubuntu 25.04では、インストールプロセスが大きく改善されている。特に注目すべきは、Windowsとのデュアルブート環境のセットアップである。これまで、Windows BitLockerで暗号化されたディスクがある場合、BitLockerを無効化する手順が必要だった。しかし、Ubuntu 25.04では、未暗号化のパーティションを検出し、スムーズにインストールを進められるようになった。デュアルブートを検討しているユーザーにとって、これは大きな進歩である。
また、ARM64アーキテクチャへの対応も強化されている。統一されたARM ISOが提供され、Raspberry Piなどのデバイスでのインストールが容易になった。ARMデバイスでUbuntuを試したいユーザーには朗報である。
パフォーマンス向上:Linuxカーネル6.14とコンパイラ最適化
Ubuntu 25.04は、Linuxカーネル6.14を搭載する予定である。このカーネルは2025年3月下旬にリリース予定であり、Ryzen AI NPUのサポート、AMDGPU DRMパニックサポート、Realtek Ethernetコントローラの改善などが含まれている。もしカーネル6.14のリリースが遅れた場合、カーネル6.13が採用される可能性もある。
さらに、パフォーマンス向上のためにコンパイラの最適化レベルが変更されている。従来の-O2から-O3へと引き上げられたことで、実行速度が向上している。テストでは、アプリケーションやワークロードの効率が改善されていることが確認されている。ただし、バイナリサイズが大きくなり、コンパイル時間が長くなるというトレードオフがある。パフォーマンスを重視するユーザーには嬉しい変更である。
GNOME 48搭載:デスクトップ環境の進化
Ubuntu 25.04のデスクトップ環境はGNOME 48である。GNOME 48は2025年3月19日にリリースされ、以下のような改善が加えられている。
  • ヘッドフォン接続時のOSD通知
  • キーボードバックライトのクイック設定トグルのアクセシビリティ向上
  • カラーマネジメントの改善
  • スクリーンタイム制限設定機能
  • デジタルウェルビーイングツール(スクリーンタイム管理など)
特に、デジタルウェルビーイングツールは現代的なニーズに応える機能である。スクリーンタイムを管理することで、ユーザーの健康や生産性向上に寄与する。また、HDR(High Dynamic Range)対応が追加された点も見逃せない。HDR対応モニターが接続されている場合、設定から有効化できる。ただし、デフォルトでは無効化されており、HDRをサポートするLinuxアプリがまだ少ないという課題がある。輝度調整のショートカットが動作しない場合もあるため、今後の改善に期待したい。
アプリケーションとツールのアップデート
Ubuntu 25.04では、いくつかのアプリケーションやツールが更新されている。まず、デフォルトのPDFビューアがEvinceから「Papers」に変更された。PapersはEvinceのフォークであり、新しい技術を採用している。しかし、一部の機能が不足しているため、Evinceも引き続きインストール可能である。PDFビューアにこだわりがあるユーザーは、Evinceを選択するのも良いだろう。
また、GIMP 3.0の最終リリース候補(RC3)がUbuntu向けにパッケージ化されており、25.04に含まれる可能性がある。GIMP 3.0が正式に採用されれば、画像編集の体験がさらに向上する。もし遅延が発生した場合、RC3または旧バージョンが採用されるかもしれない。
Epiphany(GNOME Web)では、ビデオ再生が改善されている。gstreamer1.0-plugins-badパッケージが推奨されるようになり、メディアサポートが強化された。ウェブブラウジング時の快適さが向上している点は、日常的にブラウザを使うユーザーにとって嬉しい変更である。
ゲーミング向けの最適化:NVIDIA Dynamic Boost
ゲーマーにとって注目すべきは、NVIDIA Dynamic Boostのデフォルト有効化である。この機能は、CPUとGPU間の動的な電力割り当てを可能にし、ゲームやマルチメディア編集などの高負荷タスクでのパフォーマンスを向上させる。ただし、対応するNVIDIA GPUを搭載したラップトップでしか利用できない。非対応の構成では、nvidia-powerdサービスが自動的に無効化されるため、互換性の問題は少ない。
この改善により、Ubuntu 25.04はゲーミング環境としても魅力的な選択肢となる。Linuxでのゲーミングがますます身近になっていることを実感する。
ネットワークと位置情報の進化
ネットワーク関連では、NetworkManager 1.52が搭載されている。IPv6優先オプション、DNS over TLS(DoT)、Oracle Cloud設定のサポートなどが追加されており、ネットワーク管理がより柔軟になった。また、位置情報サービスとしてBeaconDBが導入されている。Mozillaのサービスに代わるもので、ナイトライトやタイムゾーン検出、天気機能に使用される。ただし、実験的な機能であり、精度や信頼性にバラつきがある。今後の改善に期待したい。
視覚的な変更:デフォルト壁紙とアイコン
Ubuntu 25.04のデフォルト壁紙は「Plucky Puffin」をテーマにしたデザインである。紫のグラデーション背景にパフィン(海鳥)のアートが描かれており、Ubuntuの「Circle of Friends」ロゴがパフィンの瞳や波のデザインに隠されている。遊び心のある仕掛けが施されており、カラー、ライト、ディム、ダークの4つのバリエーションが用意されている。視覚的な美しさと楽しさを兼ね備えた壁紙である。
また、Yaruアイコンテーマでは、一部のアイコンサイズが不均一だった問題が修正されている。システムプロファイリングツール「Sysprof」には、新しいYaruスタイルのアイコンが追加された。細部までこだわったデザインが、Ubuntuの使い心地をさらに高めている。
技術的な詳細とISOサイズ
Ubuntu 25.04では、最新の技術が採用されている。Python 3.13、LLVM 20、GNU Binutils 2.44などがデフォルトで搭載されており、開発者にとって魅力的な環境である。一方で、ISOサイズが6GBを超えており、過去最大となっている。低速回線やデータ制限のある環境では、ダウンロードに注意が必要である。
利用可能なフレーバーとアップグレードパス
Ubuntu 25.04ベータ版では、以下を含む多くの公式フレーバーがテスト可能である。
  • Ubuntu Desktop、Server、Cloud
  • KUbuntu(KDE Plasma 6.3)
  • XUbuntu(Xfce 4.20)
  • Ubuntu Cinnamon(Cinnamon 6.4)
  • Ubuntu Studio、Ubuntu MATE、Ubuntu Budgie、UbuntuKylin、Ubuntu Unity、EdUbuntu
ベータ版をインストールした場合、4月17日の安定版リリースまでにすべてのソフトウェアアップデートを適用することで、安定版に移行できる。また、Ubuntu 25.04から2025年10月にリリース予定のUbuntu 25.10への直接アップグレードも可能である。ただし、9か月のサポート期間を考慮すると、長期的な利用を考えるなら2026年4月のUbuntu 26.04 LTSを待つのが賢明である。
まとめ:Ubuntu 25.04の魅力と今後の展望
Ubuntu 25.04「Plucky Puffin」は、パフォーマンスの向上、新しいデスクトップ環境(GNOME 48)、ゲーミング向けの最適化、インストールプロセスの改善など、多くの進化を遂げている。特にNVIDIA Dynamic BoostやHDRサポートは、ゲーマーやクリエイターにとって魅力的な機能である。一方で、HDRの実装や新しいPDFビューア(Papers)には課題が残っており、完全な安定性を求めるユーザーは正式リリースを待った方がいいかも。