20年以上業務システムを手掛けてきた僕が考える小規模組織がデータベースを持つまでの手順

 


まずはExcelで管理しよう

組織が成長し、データ管理に課題を感じ始めたら、データベースの導入を検討する時が来たのかもしれない。しかし、いきなりデータベースと構える必要はない。最初はExcelでデータ管理を始めるのが良いだろう。誰もが扱えるツールであり、初期段階でのデータ管理には十分な機能を持っている。ただし、Excelでデータ管理を行う際には注意すべき点がある。それは、列ごとのデータ型を厳密にすることだ。例えば、日付列には日付データのみを入力し、文字列を入力しないようにする。数値列も同様だ。これにより、データの整合性が保たれ、後々のデータ移行がスムーズになる。しばらくExcelで運用してみて、データの量や種類が増え、Excelでの管理が限界に達したと感じたら、次のステップに進むタイミングだ。


データベースを用意する

データベースを導入するにあたり、まず検討すべきはデータベース環境だ。主な選択肢として、オンプレミス、専用サーバー(AWS)、VPS(仮想専用サーバー)の3つがある。


オンプレミス

オンプレミスとは、自社内に専用のサーバーを設置し、データベースを運用する方法だ。メリットは、サービス料が不要であることだ。気にせず使用できる。しかし、デメリットとして、自社内で専用サーバーを用意する必要があり、インフラエンジニアを抱える必要が出てくる。環境維持費など含めるとトータルコストは最も高くなる。小規模組織にとっては、現実的な選択肢とは言えないだろう。


専用サーバー(AWS)

AWSなどのクラウドサービスを利用して専用サーバーを構築する方法だ。自社内でサーバーを持つ必要がなくなり、従量課金制なので思わぬコストがかかる場合がある点は注意が必要だ。しかし、現在の企業では最もこれを選択している。


VPS

VPSは、安価で固定料金なので安心して使用できる点が魅力だ。速度面、安定性は他の2つよりは落ちるが、小規模組織にとっては十分な性能と言えるだろう。小規模組織であればオンプレミスは論外だ。VPSでデータベースサーバーを立ち上げるのが妥当だろう。


どのデータベース製品にすべきか

データベース環境が決まったら、次にどのデータベース製品を選ぶかを検討する。ユーザー側のExcelとの親和性という点から考えるとMicrosoftのSQL Serverにするのが無難だろう。しかし、OSはWindows Serverである必要がありLinuxサーバーより高額である。LinuxサーバーであればMySQLまたはPostgreSQLだろう。Excelからは接続するにはユーザー側のWindowsにライブラリをインストールする必要がある。


Excelデータをデータベースに移行する

準備が整ったらExcelデータをデータベースに移行する。Excelからの接続は社内のマクロマンに頼らざるを得ないだろう。この作業は、Excelのデータをデータベースにインポートする形で行う。Excelからデータベースへの接続は、専門的な知識が必要となる場合がある。社内に詳しい人がいればその人に頼るのが良いだろう。必要に応じて外部の専門家に依頼することも検討しよう。


バックアップはこまめに

定期的にデータのバックアップは取っておくこと。データのバックアップは、データベース運用において非常に重要な作業だ。定期的にデータのバックアップを取ることで、万が一のトラブルが発生した場合でも、データを復旧することができる。サーバー側にもバックアップ機能があるが、インターバルなどが各社によりけりなので自分たちでも定期的にデータのバックアップを取るよう心がける。


データベースと聞くと難しく感じるかもしれないが、小規模組織でも適切な手順を踏めば、スムーズに導入することができる。まずはExcelでデータ管理を始め、必要に応じてデータベースに移行するというステップを踏むことで、無理なくデータ管理をレベルアップできる。この記事が、小規模組織のデータベース導入の参考になれば幸いだ。